三陸復興国立公園内に計画された、海を通した自然体験活動を行う施設です。東日本大震災での津波被害に対する、新国道整備や防潮堤建設工事、新設水路工事などに囲まれた敷地での施設整備計画でした。設計着手時の敷地周辺状況と当該施設が建設される時点での状況が異なるという計画地において、将来の敷地状況下での存在感ある建物の見せ方を考慮すること、防潮堤が整備された後において建物から海を見渡すことができることを最大の設計条件として設定しました。また発注者要求事項である木造施設とすることに対して、中規模空間が求められる中、施工者が限定され、建設費用の増大につながる大断面集成材構造を採用しないこと、特殊な金物を用いない構造計画とすることを目標としました。さらに海に近接することに対して塩害、腐食に強い各部の材料選定、内装制限が課せられる特殊建築物でありながら木造建築物であることが直観できる建物意匠とすることを目指しました。